タロット・ユニバーサル・ダリ
世界には様々なタロットが存在しています。
タロットにはこれが正解というものがなく、数多くの解釈をされているからです。
デザインも非常にミステリアスなものから、現代風のアーティスティクなものまで様々です。
私はタロットの研究者、そしてタロット占いの実践者であり、そしてタロットコレクターでもあります。
私の大切なコレクションからタロットを紹介していきましょう。
まずは「タロット・ユニバーサル・ダリ」
シュールレアリスムの大家で自らを天才と称した芸術家、サルバドール・ダリ。
彼自らがデザインした貴重なタロットカードで、そのデザインにはダリならではの独特の世界が描かれています。垂れ下がった時計や、古典の絵画がモチーフとして描かれ、強烈な印象を残すカード。特製のケースに収められ、側面に金付き加工が施され、重厚で煌びやかな印象を与えます。
1枚目の “THE MAGICIAN(魔術師)”にはダリ自身、3枚目の“THE EMPRESS(女帝)”にはガラの姿が描かれています。ガラとは奇抜とされていたダリの才能を認めてくれた最愛の女性のことです。
ダリはマドリードの美術学校に進んで後に、1927年パリに留学。
ピカソやエリュアールといった芸術家たちと親交を結びます。
そして1929年、ダリが25歳のとき、最愛の人ガラと出会いました。
当時ガラはダリより10歳年上で、詩人エリュアールの妻でしたが、2人は強く惹かれあい、1934年に結婚。
ガラは当時奇抜とされていたダリの芸術を認め、多くの画商を説き伏せてその絵を売り込み、ダリを一躍時代の寵児へと変貌させました。
カードは、大アルカナ22枚と小アルカナ56枚の、合計78枚組みのフルデッキ。
大アルカナには中央上下に英語と西語によるカード名称、右上と左下にそれぞれカード番号が書かれています。また、左上にはヘブライ文字、右下には星座記号が書かれています。
小アルカナには数札は絵のみで、コートカードにスペイン語でカード名称が書かれています。
私は魔術師のカードを見たとき、ダリの天才的な才能、ユニークな発想、僭越された感性、すべてにおいて「魔術師」のカードにぴったりだと思いました。
そしてガラをモデルにした女帝を見て、ダリはガラの愛を受けることで安らぎを得ていたのだなと、その愛情を感じました。
この2枚には特に力を入れて描かれたのでしょう。その迫力が伝わって来ます。
また気になったのが「審判」と「世界」のカード。
審判に描かれている人物はキリストによく似ています。
審判と同時にキリストの復活も感じさせるカードです。
そして「世界」。
3人の女神が黒い箱から脱出しています。
人生の中の愛、別れ、憎しみ、喜び、悲喜こもごもの経験を経て、もう一度、新しい人生へと生まれたままの姿で向かう女神たち。そしてその後ろには涙を流している顔があります。この顔が意味するのはダリの人生なのではないでしょうか。天才であるからこそ、現実の世界はダリにとってときおり生き辛い場所だったのかもしれません。
大アルカナを見ているうちに、ダリの人生模様が分かってくるように感じます。
2013.11.01