蟹座

蟹座

皆様は空を見上げたとき、蟹座をすぐに見つけることはできますか?
蟹座を作る星々は暗い星が多いため、見つけるのに時間がかかるかもしれません。蟹座の中央にはプレセペ星団と言われる散開星団があります。中国では二十八宿の「鬼宿」と呼ばれ、精霊(魂)が集まると言われています。神聖さを感じますね。

それではギリシャ神話の蟹座の物語を紹介しましょう。
蟹座は、ゼウスの子、勇者ヘラクレスの神話に出てくる巨大蟹が天に昇り星座になったとされています。ヘラクレスは、誤って自分の子を殺した罪を償うため、12の冒険を行うことになります。そのうちの1つがヒュドラといわれる怪物の退治です。巨大蟹カルキノスは、最初はヘラクレスとヒュドラの戦いを見ていました。
しかし、次第に同じ沼に住んでいる友人であり異父兄弟でもあるヒュドラが形勢不利に。これは助けなくてはと飛び出してヘラクレスの足を挟み、沼に引きずり込もうとしますが、ヘラクレスに踏みつぶされてしまいます。それを見ていた女神ヘラは、兄弟思いのカルキノスを哀れに思って、天に上げて蟹座としたのです。

仲間意識が強く、コミュニティを作りたがる傾向。

蟹座の人は、情に厚く、家族や仲間のため全身全霊を注げる深い愛情を持っています。また海辺や沼など一か所に住みつく蟹座のように、テリトリー意識が強いのも特徴と言えるでしょう。そのためか、蟹座の人は自分の家族ともいえるコミュニティを作りたがる傾向があります。


人から学び、経験を積んで成長していく晩成型。

蟹座の特徴のひとつに「模倣」というものがあります。成功を掴む手段として、うまくいっている人のやり方を真似ていくことが有効であることを蟹座の人は本能的に知っているのです。芸術の世界でも、基本は模倣から、と言います。まずは人から学び、経験を積んで成長していく蟹座の人は、晩成型の星座と言えるかもしれません。


支配星が月の蟹座は、にこやかに見えて、感情の起伏が激しい。

蟹座の支配星は月になります。月は女性性や感受性を示します。また公転サイクルの早い月は、感情の移り変わりが激しいことも表しています。にこやかに見えて、感情の起伏が激しいのも蟹座の性質の側面と言えるでしょう。身内に入れてもらえると頼りになり、優しい愛情を注いでもらえますが、敵に回すと手強い星座です。
また蟹座のシンボル は子宮を守る卵巣の形をしており、母性や防衛本能を表すのと同時に、生命の誕生を表します。
子どもの成長を夢見る母親のように、蟹座の人は未来に希望を持っているのです。情熱型の蟹座の人にとって恋愛はとても大切なことです。遊びの恋をすることは苦手で、恋愛の最終ゴールは結婚だと信じている人も多いでしょう。だからこそ、一度、恋を失うと、心が破れんばかりに悲しみますが、時間が立つと、また新しい恋に飛び込んで行ける魂の強さを持っています。新たな愛を生みだし続けるのが蟹座の人なのです。


蟹座は水のエレメント。頼りにされる、愛されるということは、人生の中でも大きなテーマ。

占星術では12星座を火、地、風、水と四つのタイプ、エレメントに区別します。蟹座は水の星座。水の星座は愛情が豊かで情緒的とされています。そこに蟹座の性質である強い仲間意識が加わるため、人と関わることに強い関心を持つことになるのです。人に必要とされることで、自分の存在価値を確かめられるのが蟹座の人です。そのため、蟹座にとって頼りにされる、愛されるということは、人生の中でも大きなテーマとなっているのです。

また蟹座は恋愛だけでなく、家族や仲間への愛情も一際高い星座です。蟹座は母性的とされていますが、それは蟹座の大切な人に向ける愛が、母親のように見返りを求めない深い愛情になるからでしょう。
だからといって蟹座の人が、なにをしても怒らず、いつも穏やかで親切というわけではありません。センシティブで傷つきやすいため、自分を守ろうとする意識が強く、攻撃されたと感じればいきなり厳しい態度に出て反撃に出ようとします。敵を懐に招き寄せないように、周囲にいる人を、身内とそれ以外の人と分けたがります。親しい人とはふざけあっているのに、それほどでもない人には親切ですがクールな対応をする、そんな蟹座の友人がいる方もいるのではないでしょうか。


「活動宮」の蟹座にとって成長を促す大切なポイントは「愛」。

占星術では12星座を行動パターン別に「活動宮」「不動宮」「柔軟宮」にわける区分方法があります。蟹座は活動宮に当たります。文字通り、活発に動く性質を持つ星座です。エレメントでは情緒、情感を表す水の星座でした。蟹座の行動原理は「感情」です。強い情熱、愛情が蟹座の人を動かすのです。

「動く」のは肉体だけではありません。蟹座の人は人との繋がりを重視し、相手の反応によって大きく「心」も動かすことになるのです。
好きな人からそっけなくされた、憧れている人から優しくされた、そんな日常の人間関係で一喜一憂する愛らしい性質を持っているのです。蟹座の人にとって愛を受け止めてもらえたり、共感してもらえることはとても嬉しいことです。
ただしその要望が強過ぎると、共感を得ようと自分の考えを押し付けたり、反対意見を受け入れないというマイナスの面も出すこともあります。しかし、年を重ねることでそのマイナス面は少しずつ薄れていきます。

ひとりの人を求めていた独占欲が、友人グループへの愛情へと変わり、地元愛や愛国心へと拡大していくことになるのです。愛するものが広がるに従って視野も豊かになっていく。「愛」は蟹座の人の成長を促す大切なポイントなのです。


戦車
続いてタロットの話をしましょう。通説はいくつかありますが、一般的にはタロットでは「戦車」のカードが蟹座に当てはまるとされています。 戦車は力強く、勝利を目指して前に突き進む王子の姿として描かれています。
ステラタロットでは王子の甲冑の肩の部分が半月型になっており、蟹座の支配星、月を表しています。キーワードは力や勝利、忍耐力、自分の望む未来に向けてリスクを恐れず戦うことを示しています。蟹座の性質は愛情深くて家庭的。雄々しさを感じるカードと母性を感じさせる蟹座。一見相いれないように見えます。

蟹座には自分のテリトリーを守り抜くという要素があります。このテリトリーを家庭、としたときは家庭的となりますが、ではこれを「仕事」に置き換えたらどうでしょう。自分のポジションを守るために、その人は常に上を目指すことになります。責任も求められることになるでしょう。自分の仕事を守るために、その人は知恵や頼もしさ、勝負する度胸を身につけていくことになるのです。
そのために、蟹座の人は穏やかな要素と、頼もしく野心家の面、双方を兼ね揃えている人が多いのです。特になにかを守ろうとするときの蟹座の人の力強さは群を抜くと言ってもいいかもしれません。保守的と言われつつも、大切な人にはダイレクトに感情をぶつけていく、パワーをも感じさせてくれる星座なのです。
またタロットストーリーでは、戦車の王子は将来、大きな富と栄光を胸に、祖国へ帰っていくことになります。家への回帰を表すこのカードはまさに蟹座と言えるのではないでしょうか。
獅子座

獅子座

太陽が獅子宮(獅子座)に入るのは7月23日頃から8月22日頃で、この時期に生まれた人が獅子座になります。日本では夏真っ盛りのときです。華やかなイメージの獅子座に相応しく、天体に輝く星座も明るい星が多いのが特徴です。一際、明るい光を放つ一等星のレグルスは、肉眼でも見つけやすく、別名、ライオンの心臓と呼ばれています。また二等星デネボラと、うしかい座のα星アルクトゥルス、おとめ座のα星スピカで、春の大三角を形成していることでも有名です。
獅子座の起源は古く、古代バビロニア時代から星座として認知されており、王権の象徴とも言われていました。そして現在でも天空の中で、存在感のある星座と言えるでしょう。

ギリシャ神話では、ヘラクレスの冒険譚の最初の試練とされる、ライオン退治の逸話が獅子座の物語になります。ネメアの谷に、怪物の子である獰猛なライオンが棲んでおり、ヘラクレスはその退治を命じられます。しかし相手は手強く、弓矢も跳ね返され、追い詰められたヘラクレスはこん棒で戦い、最後は怪力でライオンの首をしめて勝利します。そのヘラクレスの勇気をゼウスが称え、空に上げられたライオンが獅子座になったのです。ヘラクレスはライオンの皮を剥いで身にまとい、勇者の証としたとされています。

支配星が太陽の獅子座は、自己アピール力が強く、ドラマティックな人生を好む。

獅子座というと一般的に華やか、目立つ、そしてプライドが高いと思われていることが多いのではないでしょうか。また、獅子座の人は、百獣の王であるライオンの性質を受け継ぐかのように、力強いエネルギーに堂々としている人が多い印象があります。
獅子座の支配星は太陽です。太陽は天体の中でも、自力で輝く唯一の星で、占星術では自我や自己主張、また男性性を表します。獅子座の人は自己アピール力が強く、平凡でないドラマティックな人生を好みます。自分を表現するために想像力に富み、人生を豊かにするために、恋愛やプライベートを大切にします。仕事でもプライベートでも輝き続けてこそ人生。自分が主役である人生と言うドラマをより劇的に充実したものにしていきたい、そんな思いが心のどこかにあるのでしょう。

獅子座の恋愛も炎のようです。ドラマティックな恋愛を望み、映画や小説のようなデートを提案します。思い切り愛し、そして愛を失えば激しく悲しむ。そしてまた、恋の灯を見つけると再び恋に身を投じていきます。獅子座の人の恋は自分が主役であることが大切です。恋をすることで自分が輝くことが恋愛の醍醐味なのでしょう。


集団の中心にいることを好む傾向。

獅子座は体の中心にある「心臓」を象徴します。人間関係でも「心臓」の立ち場でありたいと、集団の中心にいることを好む傾向もあります。ではどっしりと構えて王者のようにまったく動じないのかといえばそうでもなく、おだてにのりやすく、寂しがりやという子どものような面も持っています。高飛車や傲慢という短所があるとも言われますが、どこか憎めない。そんな魅力を持っているのです。


正義感が強く、リーダーシップを発揮するが、傷つきやすい面も。

公明正大で正義感が強いところも獅子座の特徴のひとつです。リーダーシップを発揮する人も多く、人付き合いはさっぱりしています。そのため少し真っ直ぐ過ぎるところがあり、陰で隠れて動く様なことを嫌います。なにをするにしても真剣勝負で向かっていくことができるので、仕事でのし上がる可能性は高いのですが、臨機応変に対応する柔軟さや、慎重さには欠けています。ゴールに辿りつくまでの道は、多くのハードルを乗り越えなくてはいけない、試練多きものになるでしょう。 根は明るいのですが、プライドが高い分、自分の存在が拒否されたときの悲しみはかなりのものに。実は傷つきやすい面も多分にある星座です。


獅子座は火のエレメント。芸能界など華やかな世界に適性あり。

獅子座はエレメントに分けると火に分けられます。火のエレメントは直感を示します。自分のインスピレーションを信じ、大きな目標を掲げて突き進んでいくのが獅子座の性質。個性あふれるビッグドリームを抱く人が多く、芸能界など華やかな世界に適性があります。


相反する二面性を持っていることが特徴。

獅子座の人は、誇り高く、愛情豊か、慕ってくれる人には寛大という美点と、自分の支配を脅かすものには攻撃的で容赦ない、という二面性を持っています。占星術では、獅子座を行動パターンでわけると不動宮になります。不動宮は決断力があるが頑固。意志が強く、忍耐力を発揮して困難を切り抜けることができるとされています。満腹になっているときはのんびりと寝そべり、テリトリー争いの際には激しく戦う獅子のように、普段はどっしりと構え、余裕を見せていますが勝負の時となると激しい闘争心を見せる人が多いのも獅子座の特徴です。しかし、本当に獅子座の人が常に自信に満ち足りているかというと、そうではありません。
獅子座は創造力が高いため、こうありたい、もしくはこういう人だと見てもらいたい自分を演出する能力に長けています。人前では不安を押し隠し、余裕を持った振る舞いをみせようと、理想の自分を演じきることができるのです。ときに見栄っ張りな分が出てくるのはこの性質からくるのでしょう。小さなことを気にするところを見せまいと、大盤振る舞いをしたり、大言壮語を放ってしまうこともあります。

強気に見えますが、それでいて内面はナイーブなところがあり、自分らしさを否定されると落ち込んでしまう弱さがあるのです。強気だった獅子座の人が、一度の失敗で気の毒なくらいに落胆しているのを見かけたことはないでしょうか。獅子座の人は、自分の個性や創造力を発揮できる場所を作ることで、より輝ける特性を持っています。強いエゴと深い愛情、強引さと繊細な感情、誠実さと独裁性など、相反する二面性、どちらの影響が強くなっていくかは、周囲の環境が大きく影響しているのです。


ミラクル
それでは最後にタロットの話をしましょう。各星座にはその性質に当てはまるタロットがそれぞれ割り当てられています。獅子座は支配星が太陽のため、タロットカードでは「太陽」に当てはまるとしている説もあります。しかし、ステラタロットでは獅子座は「ミラクル」に紐づけられます。

「力」とも呼ばれるこのカードはライオンの口の中に手を入れ、宝石を取りだそうとしている人物の姿が描かれています。この人物は、いつ咬まれるかもしれない危険を顧みず、宝物を手に入れようとしているのです。ライオンを制しているようにも見えるこの人物は、チャンスを掴むには猛々しさだけでなく、タイミングをじっと待つ、冷静さと集中力も必要であることを示しています。この人物が被る帽子にはメビウスの輪がついています。メビウスは無限大を意味します。本気で力を発揮すると、予想以上の力と奇跡を起こせることを意味しているのです。

「ミラクル」は、勇気と、力づくでも勝利をもぎ取ろうとするパワー、集中力を意味するカードです。獅子座の人は堂々とした風格を備えている人が多く、その人が腰を上げて動き出すと、獅子が動いた、とでもいうような迫力を周囲に与えることになります。目標を決めたら一点に集中し、リスクをものともしないところがあるため、傲慢や強引という印象を人に与えることもあるでしょう。ミラクルのパワーは精神力、忍耐力という意味も持っています。ライオンの口に手を差し込めるほど自信家の多い獅子座ですが、豪気に見える分、実は寂しがりやで、失敗をするととても落ち込んでしまう弱い部分を持っています。この「ミラクル」のカードは、獅子座の理想の姿。即ち、精神力を鍛え、あきらめないしぶとさを身につけることで、百獣の王獅子のような勝者になれることを描いているのです。