◇◆ 優しさと強さを併せ持つ女神 ◆◇
世界中でペットとして愛される猫ですが、実は猫をペットとして飼い始めたのはエジプト人だともいわれています。
古代エジプトの人々にとってもペットは家族同様だったようで、愛猫の死を悲しみ、復活を願って猫のミイラも数多くつくられました。
そのように愛された猫は、次第に神格化され、女神となったのです。
それが、チャーミングで魅力あふれる女神【バステト】。
その姿は、すらりとした女性の身体に、猫の顔。
装飾品を身に着け、美しく着飾っていますが、手には振って音を出し子供をあやす「シストラム」という楽器を持ち、時には足元に数匹の子猫を引き連れた姿で描かれることもあるように、多産で子育てをする猫の姿に母性を見出した古代エジプト人にとって、バステトは出産や子どもを守る、母性の象徴ともなっていったのです。
このように、同じく母性の象徴「ハトホル」神とともに、コムオンボの壁画に描かれています。
また、そこから、豊穣の女神ともされています。
しかしその一方で、「ラーの目」とも呼ばれ、一説では太陽神ラーの娘ともいわれています。
元はメスライオンの頭で描かれていたように、太陽神ラーの旅路に付き従うときは、ナイフで敵を打ち破る戦いの女神としての一面ももっています。
まさに多面的でつかみどころのない、猫そのものといったところです。
私はこの猫の姿が大好きで、エジプトでショップに入るとどうしても目に付くアイテムのひとつです。
見るたびに可愛くて、カッコよくて、神々しくて、それぞれに魅力を感じ、どんどん増えてしまいます。
ただ美しく優しいだけでない、また、残虐なほどの強さをもつだけでもない、強さと優しさを併せ持ったバステトは、とても魅力的な女神です。
猫らしく、しなやかなスタイルに惹かれる、憧れの存在です。