青の洞窟・カプリ島(イタリア)


青の洞窟・カプリ島



神秘的な「青の洞窟」が待つ憧れのカプリ島へ

青の洞窟・カプリ島


ヨーロッパは、タロットや占星術にかかわりが深いこともあり、これまでたびたび訪れています。なかでもイタリアは、その歴史や文化のすばらしさに惹かれ、何度も足を運んでいます。北はフィレンツェ、ヴェネチア、南はナポリまで、いくつかの都市に行きましたが、それぞれの地域はとても個性豊か。ひとつとして同じ顔の都市がないのは、イタリアがかつて、いくつもの小国家に分かれて覇を競い合っていたためかもしれません。

青の洞窟・カプリ島


今回訪れたカプリ島は、イタリア南部、ナポリ沖合いに浮かぶ小さな島です。この島にある有名な「青の洞窟」を、私は一度自分の目で見たいと思っていました。
以前、ボンペイの古代遺跡を見学するためにナポリを訪れたことはありましたが、そのときは時間の関係でカプリ島に渡ることはできませんでした。今回、ついに訪問がかない、とてもうれしい気持ちでした。


セレブたちが滞在するバカンスの島、カプリ

ティレニア海に浮かぶカプリ島は、東京の千代田区の面積と同じくらいの小さな島。深い青緑色をたたえた海と、そこからそそり立つ断崖、そして島の緑……。風光明媚とは、まさにこの島のことを言うのではないかと私には感じられました。

青の洞窟・カプリ島


美しい風景と温暖な気候は、古代ローマ帝国の皇帝さえも魅了しました。紀元前1世紀、皇帝アウグストゥスは、この島全体を別荘地として購入。そのあとを継いだ皇帝ティベリウスは、この島に住みついて、半ば隠樓しながら政務を行ったといいます。

現在のカプリ島は、イタリア屈指の高級リゾート。各界の著名人がバカンスを楽しむ場所として知られ、高級ホテルやブティックも島の高台に軒を連ねています。私も例外ではなかったのですが、多くの日本人旅行者は、青の洞窟だけを見るとすぐに帰ってしまいます。しかし、多くのイタリア人セレブたちは、海上に浮かぶこの別天地で、日常を忘れて何日も過ごすそうです。なんともうらやましい話しですね。


エメラルドの海を背景に別荘地が広がる贅沢な風景

ナポリの港から水中翼船に乗った私と友人は、吸い込まれそうなエメラルドグリーンの海を一路カプリ島へ。穏やかな海から立ち上がるオーラも、また美しいエメラルドグリーンの色をしていました。その色に私は、霊感を得るきっかけともなった、18歳の時に突然浴びたエメラルド色のフラッシュを思い出しました。

40分ほどでカプリ島の玄関港、マリーナ・グランデに到着。そこにあふれる日差しの強さはナポリ異常のように感じられました。カプリ島にはアナカプリとカプリの2つの街がありますが、いずれも高台に開けているため、港近くからケーブルカーで街へ向います。カプリ地区に宿をとっていた私たちも、ケーブルカーに乗車。高度を上げるにつれて広がる、白亜の別荘群とヨットを浮かべた美しい海……。なんとも贅沢な風景でした。

青の洞窟・カプリ島


ケーブルカーを降りると、目の前の広場には、カフェのパラソルが並び、高級ブランドのショップが軒を連ねています。私たちも広場の一角にあるカフェで食事をしましたが、こうして島の中でいただく食事というのは珍しく、あらためて「遠くまで来たな」という思いがこみあげてきました。

青の洞窟・カプリ島



言葉を失うほどの感動体験、青の洞窟

快適なホテルで一夜を過ごした翌日、いよいよこの島のハイライトである青の洞窟へ。青の洞窟は、海に接した洞窟の内部が、光線の加減によって青白く浮かび上がる神秘的な空間。モーターボートで洞窟の近くまで行き、そこから手漕ぎボートに乗り換えて青の洞窟を往復します。一般のボートの漕ぎ手と交渉。いくらか多めにチップを払うことで話しがまとまると、すぐにボートに乗せてくれました。周辺の海にはすでに薄紫のオーラが漂い、これから体験する神秘体験への期待を高めてくれます。

波打ち際に半分隠れた青の洞窟の入口は狭く、くぐる際には頭を下げるほどでした。内部へ入った瞬間、私は息を飲み、言葉をなくしみあした。中には数十メートルの意外なまでに広い空間があり、そこに広がる海が青白く光っています。

青の洞窟・カプリ島


「なんて美しいんだろう!」私は心の中で叫びました。体は、まるで宇宙に浮かんでいるような不思議な感覚でした。ボートの漕ぎ手がオールをひとかきすると、小さな波がまるでダイヤモンドのようにきらめき、青の中へと消えていきます。
洞窟の中にいたのは、10分にも満たない短時間でしたが、その中で私は藍色や紫のやさしいオーラを感じ、不思議なまでに癒されていました。


世界中のどこにもない癒しのエネルギーに触れて

一度、この目で見たいと思っていた、青の洞窟。その内部に満ちるオーラのエネルギーは、これまでどこでも感じたことのないものでした。私が世界各地で感じて来たオーラには、愛、憎しみ、権威、敵意などさまざまなエネルギーがこもっていました。しばしばオーラの持つマイナスな気にうちのめされることもあり、そんなとき私は、過去の負の歴史が集積してきたエネルギーの大きさを思うのでした。

しかし、青の洞窟のオーラは、そうしたものとはまったく無縁の存在でした。そこにマイナスな気配は一切なく、かといって愛や好意といった人間臭い感情もありませんでした。洞窟は、ただただ神秘的に青く、静かに“癒し”のエネルギーを漂わせていたのです。おそらくこのことは、人の手が加わらず、純粋に自然の営みだけで洞窟がつくられたことによるのでしょう。

今回のカプリ島滞在は、とても短期間で、その島の魅力を100%体験するまでには至りませんでした。しかし、青の洞窟での神秘体験はかけがえのないものとなりました。またいつの日か、たっぷりと時間をかけてこの島の魅力に触れたい……そう強く思う私でした。




皇帝も童話作家もみせられた、青の洞窟

カプリ島の代名詞ともなっている、名称・青の洞窟。この神秘の洞窟は、古くから特別な場所としてとらえられていた。古代ローマ帝国の時代には、皇帝の個人的な浴場として使用されていたことが記録に残されている。洞窟に至る地下通路が確認されているが、その一部はふさがれており、かつては島のカタコンブ(地下墓所)につながっていたと考えられている。19世紀に著わされた、デンマークの童話作家・アンデルセンの出世作となった翔セル「即興詩人」は、この青の洞窟が重要な舞台となっている。

青の洞窟は波の浸食によって生まれた「海食洞」と呼ばれる洞窟である。カプリ島に散在する海食洞のうち、この青の洞窟がこれほどまでに幻想的、神秘的に光るのは、周囲の岩肌が白く、そこに絶妙な角度で太陽光線が入って反射するためである。見学の際は必ず午前中に行くことが条件。午前中は、太陽光線の角度が低く、屈折しやすいからである。時間帯でいえば、午前10時から12時がベスト。

青の洞窟へは、島内のアリーナ、グランデから専用観光船で洞窟近くまで行き、小舟に乗り換えるのが一般的だが、陸からもアプローチは可能。アナカプリから洞窟行きのバスに乗り、終点で下車。そこから崖づたいに降りていくと、小舟に乗ることができる。




2007年8月「恋運暦」(イーストプレス)『オーラ紀行』         


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